育成就労制度

1.育成就労制度とは

2.育成就労制度の概要

  1. 特定技能制度との連続性
  2. 日本語能力の要件化
  3. 転籍制限の緩和
  4. 監理支援機関の役割

3.育成就労外国人について

育成就労外国人の要件

  1. 年齢・健康状態・素行
  2. 日本語能力(入国時)
  3. 送出国の推薦

育成就労外国人と外国人技能実習生の違い

育成就労制度と外国人技能実習制度の要件比較

比較項目育成就労制度技能実習制度
制度の目的特定技能1号水準の人材育成・確保開発途上地域等への技能移転(国際貢献)
在留期間(最大)原則3年間最長5年間(1号・2号・3号の合計)
受け入れ可能な職種特定技能の分野に対応した育成就労産業分野主務省令で定める移行対象職種(91職種168作業)
入国時の日本語原則A1相当(N5等)以上が必須介護などの一部職種を除き原則不要
転籍(就労先の変更)一定要件下で本人意向による転籍が可能原則不可(不適切な事案等の例外のみ)
目標とする試験特定技能1号水準の試験(技能3級・日本語A2)各段階ごとの技能検定(基礎級・3級・2級等)
特定技能への移行良好な修了により評価試験が免除実務経験等による免除はあるが連続性が低い

特定技能1号への移行要件

4.育成就労実施者(受け入れ企業)について

育成就労計画の認定制度

外国人材が着実にスキルアップできるよう、本制度では一人ひとりの育成内容を記した「育成就労計画」を認定制としています。計画書には、最長3年の期間内で従事する業務の詳細、修得を目指す技能検定の種類、日本語能力の目標などを具体的に定める必要があります。受入れ企業は、外国人材の入国に先立ち、これら3年分の育成プログラムを策定しなければなりません。作成された計画は、外国人育成就労機構による厳格な審査を経て認定を受ける必要があり、この認定が適正な受入れの前提条件となります。

認定を受けるための主な要件

受入れにあたって、企業様がまず確認すべき主要な要件は以下の5点です。

  1. 指導・相談体制の整備
  2. 日本語日本人と同等以上の適正な待遇能力(入国時)
  3. 日本語学習の支援義務
  4. 法令遵守と健全な経営基盤

    社会保険・労働保険への加入や税金の完納、過去1年以内に同種業務の日本人をリストラしていないこと、債務超過の状態にないことが求められます。

  5. 分野別協議会への加入

    従事させる業務が属する「育成就労産業分野」の分野別協議会に加入していることが必要です。

転籍制限の緩和と初期費用補填

育成就労制度では、一定の要件(1〜2年の就労、技能・日本語の試験合格)を満たした場合に、本人意向による転籍が認められます。 企業様が最も懸念される転籍時の経済的リスクを軽減するため、転籍先の企業は、転籍元の企業が支出した初期費用(入国時渡航費や送出手数料等)の一部を補填(返金)する仕組みが導入されました。これにより、育成に投資したコストが保護され、企業間の公平性が保たれます。

育成就労実施者と実習実施者の比較

比較項目育成就労実施者(育成就労制度)実習実施者(技能実習制度)
役割と目的将来の特定技能1号の育成・確保開発途上地域等への技能移転(国際貢献)
人数枠の拡大優良な実施者は受入れ人数枠が大幅に拡大優良な実施者には一定の人数枠拡大あり
転籍の受入れ一定要件下で本人意向の転籍者を受入れ可能原則不可(不適切な事案等のみ)
転籍時の初期費用の精算本人意向転籍の際、新旧企業間で費用を補填規定なし
日本語教育A2相当合格に向けた講習受講の支援義務努力義務

優良な育成就労実施者のメリット

技能試験の合格実績や指導体制が優れていると認められた企業様は、「優良な育成就労実施者」として認定されます。 優良認定を受けると、育成就労外国人の受入れ人数枠が、基本枠の約2倍〜3倍(常勤職員の最大3/10〜9/20)まで大幅に拡大されます。多くの人材を長期的に確保したい企業様にとって、非常に強力なインセンティブとなります。

5.受け入れ可能な人数枠について

育成就労制度では、外国人材への適切な指導と保護を担保するため、受入れ企業(育成就労実施者)の「常勤の職員数」に応じて、受け入れられる人数の上限(人数枠)が定められています。

育成就労外国人の受入れ人数枠 一覧表

受入れ企業が「優良な育成就労実施者」として認定されると、受入れ枠は基本枠の約2倍に拡大されます。さらに、一定の要件を満たす地域(指定区域)では、最大約3倍の「地方特別枠」が適用されます。

常勤の職員総数(※1)基本人数枠基本人数枠

優良人数枠
基本人数枠

優良人数枠

地方特別枠
(※2)
1人3人4人5人
2人6人7人8人
3人9人10人11人
4人9人12人13人
5人9人15人16人
6人 ~ 30人9人18人19人~27人
31人 ~ 40人12人24人36人
41人 ~ 50人15人30人45人
51人 ~ 100人18人36人54人
101人 ~ 200人30人60人90人
201人 ~ 300人45人90人135人
301人以上職員総数の3/20職員総数の3/10職員総数の9/20

※1 常勤の職員の定義: 社会保険の被保険者等、継続的に雇用されている職員を指します。なお、受け入れている「育成就労外国人」や「技能実習生」は職員数にカウントできません。

※2 地方特別枠:優良な実施者が、大都市圏以外の「指定区域(いわゆる地方)」で、優良な監理支援機関のサポートを受けて受入れを行う場合に適用されます。

優良な育成就労実施者の要件

高い育成能力と適切な受入れ体制が認められた企業様は、「優良な育成就労実施者」受入れ人数枠が基本の約2倍(地方特別枠では最大3倍)に拡大されるなどの優遇措置が受けられます。

この認定は、客観的な指標に基づいた「点数制(ポイント制)」によって判断されます。主務省令で定められた評価項目ごとに配点が設定されており、4つのカテゴリーの合計点数のうち、6割以上の得点を取得することが認定の条件となります。これにより、単なる形式的な要件確認ではなく、実際の人材育成の実績や待遇面が正当に評価される仕組みとなっています。

評価の対象となる4つのカテゴリーは以下の通りです。

  1. 技能・日本語能力の修得実績
  2. 適切な指導・相談体制
  3. 外国人材の待遇
  4. 法令遵守・失踪防止

6.受け入れ可能な分野・職種について

育成就労制度では、原則として特定技能1号の対象となっている特定産業分野と一致する以下の16分野において受け入れが可能です。これにより、育成就労から特定技能1号へのスムーズな移行が制度的に担保されています


介護

ビルクリーニング

工業品製造業

建設

造船・舶用工業

自動車整備

航空

宿泊

自動車運送業

鉄道

農業

漁業

飲食料品製造業

外食業

林業

木材産業

資源循環

業務区分

各分野の中には、従事する具体的な仕事の内容を定めた「業務区分」が設定されます。
育成就労では、将来の特定技能への移行を見据え、同一の業務区分内であれば、より多角的な技能を修得させることが期待されています。また、技能実習制度に存在した「周辺業務(1/3以内)」などの厳しい制限が緩和され、同一区分内の業務や関連業務への従事がより柔軟に認められるようになりました。
具体的にどの作業がどの業務区分に属し、どのような技能を修得すべきかは、各分野を所管する省庁が定める「分野別運用方針」によって詳細に規定されます。

業務構成と時間配分

育成就労制度では、実務時間の配分基準が再編され、技能実習制度に存在した「周辺業務」の厳格な制限(1/3以内など)が事実上廃止されました。

  1. 必須業務(1/3以上)
  2. 安全衛生業務(1/10以上)
  3. 関連業務・その他
  1. 必須業務(1/3以上)

    技能検定3級相当の合格のために不可欠な中核業務

  2. 安全衛生業務(1/10以上)

    現場での安全確保や教育に関する業務

  3. 関連業務・その他

    同一業務区分内の関連業務

7.当組合(監理支援機関)によるフルサポート体制

監理団体から監理支援機関へと役割が進化する当組合は、制度の目的である「人材育成」と「人材確保」を高い次元で実現するため、企業様が「優良な育成就労実施者」として認定を受け、優秀な特定技能人材を長期にわたって確保できるよう、以下の体制で全面的にバックアップいたします。

優良認定の取得支援

育成就労制度の最大のメリットを享受するためには、「優良認定」の取得が鍵となります。当組合は、認定基準に適合した「育成就労計画」の策定を支援し、企業様の受入れ体制を最適化します。

法令遵守サポート

育成就労制度では、従来の技能実習以上に厳格なコンプライアンスが求められます。当組合は、企業様が予期せぬ法令違反に問われるリスクを未然に防ぎ、健全な運営を維持できるよう伴走します。

母国語相談・緊急支援体制

育成就労外国人が十分に理解できる言語(母国語)による相談窓口を整備しています。SNSや通話アプリを活用し、気軽に相談できる環境を整えることで、孤立感による失踪やトラブルを未然に防ぎます。